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プロフィール
トシちゃん先生の海釣り
トシちゃん先生の海釣り
先生,etc.です。
海釣りは趣味、本職は教育研究です。趣味は本職に影響のないことが鉄則。
たまたま中学時代のラジオ工作が機縁でおもちゃ病院のドクターをすることに。子供たちのためのボランティア活動です。
おもちゃ病院では「アマチュア無線の2級くらい持ってないの?」と修理技術に関する品定めを受けました。
私はアマチュア無線を始め無線工学、電磁気学とは数学を除いて無縁でした。
そこでやむなくアマチュア無線の国家試験をパスして技術レベルを示すことに。2017年10月23日第3級、同12月3日第2級、翌年4月7日第1級の試験を受けそれぞれ1回でパスしました。
無線工学関連のことは数学で理解するのが正確しかも早道です。ラジコン等でのデジタル信号の変調(パルス幅変調、パルス位置変調、パルス符号変調)は複素数で表現され、OFDM(直交周波数分割多重)では離散フーリエ変換の方法が利用されます。頼れるのは最終的には数学しかありません。

2016年03月04日

3月4日 釣りの本

 釣りに関しては、目下越冬中。
 越冬は4月末まで続くだろう。

 越冬中なので、図書館で借りる本は主に電子機器や電子回路の本。

 しかし、越冬しているからといって釣り師の本性(nature,ナチュール,ネイチュア)が消え去っ
ているわけではない。
 図書館で本棚を眺めているときも、海、海岸、島、釣り、船、風、嵐という文字や書名が目に
入ると、反射的にその本を手に取る。
 釣り師の本性が無意識にそうさせるのだ。

 私の所作を観察している人がいるとしたらどう見るだろうか。
3月4日 釣りの本


 つい先日、図書館で、『嵐』(ル・クレジオ著)という本の題名が目に入り、瞬間的にその本を手
に取った。
 Tempête はフランス語で嵐。  
 テンペストはベートーベンのピアノソナタで誰しも知っている。
 
 本の題名は『嵐』、「嵐」と「私は誰?」との2篇構成。

 「嵐」の中をぱらぱらとめくると、釣りの場面に出くわした。

  「外国人だ。最初は港で出会ったのだが、そのときキョウさんは防波堤で釣りをしていた。
   釣り道具は一式そろえてあった。プロはだしの道具立てだった。グラスファイバーの竿、
   最新のリール。ありとあらゆる釣り針を入れた赤いプラスティック製の容器。釣り糸。
   .....」。

  (ジューンが声をかけた)
  「釣り道具が全部そろっていますね。お上手なんですか」。

  J.M.G. Le Clézio, Tempête – Deux novellas,2014
  中地義和訳『嵐』(作品社 2015),p.32

 こうした場面は、釣りをしている人ならよく出くわす場面である。

 これに惹かれ読み始めた。
 一挙に読んでしまったと思う。
 『嵐』は訳本で5~134頁とそう長くはない。

 釣りの本だと思って読み始めたのだがだんだん重苦しくなってきた。
 重苦しさがあるのだが、島、海、海女、そして場面が韓国の小さな島ということもあって読
み進めることができた。

 その昔、韓国の江原道を2度ほど訪れたことがある。
 もちろん仕事が中心であった。
 冬のソナタのロケ地である。
 インチョン空港からカンゴンドウに車で行く道すがら、浜で釣りをする人の姿が私の目
に強く焼き付いた。
 今も思い出す。
 江原道は湖が美しい静かな山あいの地方だった。

 ソウルから釜山までセマウル号の鉄道旅をしたこともある。
 チェジュ島(済州島)に行く機会は逸したが。

 この小説の舞台は韓国の小さな島である。
 懐かしさもあって読み進めた。

 主人公のキョウ、そしてジューンと母親は、辛い過去を持ち、辛い過去から逃れるため、
あるいはそれを確認するために島にやってきて、いろいろな体験をし、やがてそれを乗り
越え、あるいはそれと決別し、新たな人生へと旅だって行く。
 キョウとジューンの2重の語りで織りなされる構成に引き込まれ、重苦しさを感じつつ読
みすすめ、最後にはすがすがしさを覚えた。
  
 読み終わっての感想は、内容が重い、普通の作家の本ではない、ということだった。

 どういう作家かなと調べて、経歴を見てびっくり。
 ノーベル文学賞作家ではないですか。
 道理で内容が重いはずだ。
 知らなかった。
 専門外ではあるが恥ずかしい。

 ということで、『隔離の島』、『飢えのリトルネロ』という本も借りてきた。

 『隔離の島』はフランス語の原題が「40」。
 「40」が「隔離の島」と訳されているので、島、病気、40日間の隔離を連想。
 どこの島かなとみるとモーリシャス島。
 釣りに行きたいねということで分厚い本だが借りる気になった。

 どの本も「私は誰、私は何者」かを問う重い内容。
 でもなぜかまた読み返したくなるのは不思議だ。

 かっこよくいえば、釣り師も、内容の次元が違うが、「釣りとは何、何のために釣りをするのか」
という重い問いかけを背負っているのだ。










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Posted by トシちゃん先生の海釣り at 14:28│Comments(0)2016年釣りの本
 
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